特定調停と任意整理の違い|それぞれのデメリットを比較
記事の最終更新日:2021年05月07日
カテゴリ:特定調停について
特定調停:自分+調停委員が交渉、任意整理:自分はなにもしない

債務整理手続きの中には任意整理、特定調停、自己破産、個人再生があります。そのなかでも、任意整理と特定調停の違いがわかりにくいと思いますのでここでは、ふたつの違いを説明していきます。
任意整理手続きとは、手続きを行う上で裁判所を通さずに消費者金融などの貸金業者と借金減額の交渉をすることをいいます。

特定調停手続きとは、司法書士などを使わずに個人で簡易裁判所に出向き、貸金業者と借金減額の交渉をすることをいいます。

「3~5年で完済できるよう借金を減額する」という目的は似ていますが、それぞれに長所と短所があるので比べてみましょう。
も く じ
特定調停と任意整理のデメリット比較
特定調停 | 任意整理 | |
---|---|---|
誰が | 自分で | 弁護士や司法書士 |
関わる人 | 自分 調停委員 裁判官 裁判所書記官 債権者 | 自分 弁護士や司法書士 債権者 |
費用 | 1社あたり1000円以下 | 1社あたり数2万~6万円程度+減額できた借金額の22~27.5%程度 (初期費用や成功報酬などがかかる場合も) |
取り立て | 特定調停を裁判所に申し立てるとストップ | 弁護士や司法書士に依頼すると、ただちにストップ |
交渉 | 自分と調停委員 (和解できない場合は調停不成立になり、他の債務整理手続きをすることになる) | 弁護士や司法書士 (自分でやるより和解が成立しやすい場合もある) |
過払い金 | 調停の場では過払い金請求できない (別途、交渉や訴訟をする必要がある) | 弁護士や司法書士が過払い金請求もやってくれる |
手続き後の強制執行のリスク | 2回以上遅延や滞納があると、すぐに強制執行される恐れがある | ただちに強制執行はされない |
手続き中の遅延損害金 | 借金総額に加算される | 原則的にカットされる |
特定調停の3つのデメリット
1.手続き中の遅延損害金が借金に加算されてしまう
特定調停手続きは、通常は手続きが終了するまでに2~3か月程度かかります。
その間、返済しない分の利息(遅延損害金)は借金総額に加算されてしまいます。
その分は負担が増えてしまいます。

任意整理手続きの場合は、原則として最後の支払日から利息・遅延損害金のすべてをカットするように業者と交渉するので、元本のみを返済すればよいという内容で和解を成立させることが多く、その分負担も少なくて済みます。


2.返済できなくなった後に強制執行されやすい
特定調停で決めた返済計画に沿って返済ができない場合、ただちに給料差し押さえをされてしまいます。

3.過払い金請求が同時にできない
特定調停手続きでは、簡易裁判所で調停員が間に入って貸金業者との交渉を進めていきます。その際に、過払い金が発生していることが判明しても、特定調停では、取り戻すことは出来ません。

任意整理手続きの場合では、借金減額の交渉と合わせて過払い金が発生していることが判明したら、過払い金請求を行いますので、過払い金を他の業者の借金の返済に充てることもできます。
4.最近、貸金業者の対応が厳しくなってきた
裁判所書記官の方のお話によると2017年9月29日現在、特定調停に対する貸金業者の対応が厳しくなってきているそうです。
「労力をかけてもなかなか貸金業者と合意ができず、弁護士や司法書士に依頼するより金利が下がらない」というケースが増えつつあるそうなので、時間に余裕がない方や報酬がかかってもいいから手続きをスムーズに済ませたいという方は、司法書士や弁護士に任意整理を依頼してしまったほうがよいかもしれません。
任意整理の2つデメリット
1.費用がかかる
特定調停は手続きがカンタンで自分で申し立てるので、報酬を払う必要がなく、債権者1社(人)あたり1000円以下という少ない費用で借金を減額できます。
しかし、任意整理の場合は手続きが煩雑(はんざつ)で弁護士や司法書士に依頼することになるため 【 債権者1社(人)あたり2~6万円程度の費用 + 利益の22~27.5%程度 】といった費用がかかってしまいます。


【関連記事】特定調停とは?デメリットや流れ、費用を日本一わかりやすく解説
2.特定調停よりも任意整理の方が解決までに時間がかかるかも
特定調停は裁判所に申し立てを行ってから2~3か月程度で完了することが多いスピーディーな手続きです
一方、任意整理は弁護士や司法書士に依頼するため、手続きを始めるまで時間がかかってしまうことが多く、事務所によっては長い時間待たされる可能性があります。
多くの実績を持つ人気の事務所や規模の大きい事務所のほうが、時間がかかる傾向もあるので、平日に2~3回裁判所に行く時間をつくれる人は、特定調停手続きをしたほうが問題解決が早いかもしれません。

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