総量規制とは|多重債務は減った?配偶者貸付や総量規制の例外

多重債務者をなくすためにつくられた総量規制

総量規制と多重債務

ねえ博士「多重債務(たじゅうさいむ)」ってどういう意味?

多重債務とは、債務(=借金)が複数重なっている状態。
「2社以上は多重債務」っていう法律事務所もあるし「5社以上の借り入れ=多重債務」と判断している金融庁の資料もあるから、何か所から借りているかは関係ないみたい。

たとえば、花子ちゃんが100万円借金してるとする。

・A社だけから100万借りている場合
・A/B/C社という複数の貸金業者から合わせて100万借りている場合

があるよね。

後者の場合「A社の借金を返すためにB社からお金を借りて、B社のお金を返すためにC社からお金を借りる……」という風に自転車操業みたいな状態になることがある。そんな状態を多重債務状態と呼ぶんだ。

多重債務状態に陥ると、利息がかさむし返済日も月に何回もあるから雪だるまのように借金が増えてしまう。

「多重債務している」と自覚したら、自分だけで借金問題を解決するのは難しいから、債務整理のプロ(司法書士や弁護士などの法律家)に相談した方がいいね。

多重債務状態の人を少しでも減らすためにつくられたきまりが総量規制なんだよね?

そうだよ。太郎くんは物知りだね!

今回は、2006年に公布され2010年に完全に施行された貸金業法とその中の総量規制についてお話するよ。

総量規制について知っておきたい3つのポイント

総量規制というのは、平成22年6月18日に施行された改正貸金業法の一部です。

返済しきれないほどの借金を抱えてしまう「多重債務者問題」を解決することを目的としてつくられました

2011年6月に金融庁が出している資料によると、総量規制のおかげで2007年~2011年までに
・5社以上サラ金から多重債務している者は100万人以上減少
・(個人の)自己破産件数は(ピークの2003年に比べて)ほぼ半減
・多重債務が原因の自殺者も2/3に減少

しているそうです。

【データの参照元】金融庁HP「改正貸金業法を検討する」2011年6月

しかし、新たな借入が困難になったことなどから、闇金からお金を借りてしまう人が増えたり、かえってマイナスに作用しているのではないか?という声も上がっています。

現在(2016年3月)総量規制の新たな改正についての話題も出るようになり、総量規制の動向から目が離せません。

今回は、そんな総量規制について、知っておきたい3つのポイントをご紹介します。

1.年収の3分の1までしか借入ができない

総量規制によって、貸金業者からは年収の3分の1までしか借入ができなくなりました。

※ここでいう貸金業者というのは、財務局や都道府県に登録をしている、消費者金融やクレジット会社のこと。銀行のローンやクレジットカードでの買い物に総量規制は適応されません

これによって、すでに年収の3分の1以上の借入をしていた方は、返済が進むまでは借入をすることができなくなってしまったのです。

現在においては、借入に制限を設けることによって多重債務者の増加の歯止めには繋がっているといえますが、実施したてのころは自己破産者の増加などが問題視されてきました。

総量規制によって、個人事業者に大ダメージ

また、総量規制によって、もっとも影響を受けたのが個人事業主です。
個人事業のための資金調達が容易ではなくなり、経営破綻してしまう個人事業主が増加してしまったのです。

このような経緯がある総量規制ですが、借入の際の知識として「年収の3分の1までしか借入ができない」という点については、必ず知っておくようにしましょう。

2.夫婦年収の3分の1までは借入可能

改正貸金業法では「配偶者貸付け」と呼ばれる制度も定められました。

通常、個人であれば上記のように年収の3分の1までしか借入をすることはできませんが、夫婦であれば、夫婦の併せた年収の3分の1までは借入れることが可能というものです。

ただし、夫婦の一方がまったくの無収入である場合は、この制度を利用することはできなくなっています。 また、夫婦のもう一方からの同意書がなければ、借入をすることができません。

下記に借入をするための条件をまとめてみました。

●配偶者からの同意書(信用情報提供と金銭消費貸借契約への同意)
●住民票、または戸籍謄本の提出(婚姻の事実を確認するため)
●配偶者の収入証明書(源泉徴収票・確定申告書・課税証明書など)

借入の条件を見ると「連帯保証人」のようにも見えますが、そういった性質のものではありません。あくまでも、夫婦の一方に対する貸付として処理されることになります。

こちらは総量規制の例外規定になりますので「急きょ現金が必要になってしまったときの知識」として知っておくようにしましょう。

※ただし、配偶者貸付けにあまり積極的でない貸金業者もありますので、必ず審査に通るわけではありません

3.その他、総量規制対象外となる借入

上記の配偶者貸付も総量規制の例外といえますが、その他にも総量規制の対象外となっている借入もあるため、ご紹介していきます。

とても区別がつきにくいのですが、総量規制の「除外」と「例外」に分けられていますので、それぞれ見ていきましょう。

総量規制の除外と例外

総量規制の除外とされる貸付け(貸金業法施行規則第10条の21 第1項各号)

・不動産購入または不動産に改良のための貸付け(そのためのつなぎ融資を含む)
・自動車購入時の自動車担保貸付け
・高額医療費の貸付け
・有価証券担保貸付け
・不動産担保貸付け
・売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付け
・手形(融通手形を除く)の割引
・金融商品取引業者が行う500万円超の貸付け
・貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介

総量規制の例外とされる貸付け(貸金業法施行規則第10条の23 第1項各号)

・顧客に一方的有利となる借換え
・緊急の医療費の貸付け
・社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
・配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け
・預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け

このような規定もありますので、総量規制によってどうしても年収の3分の1以上の借入をすることができないわけではありません。

ただし、上記の除外・例外規定の利用によって、結果的にはさらに債務が膨らむことになりますので、取り扱いには注意すべきということを知っておきましょう。

ただ借り入れをすれば良いというわけでなく、その使い方までをしっかり考えることが重要です。

総量規制にひっかかったら、債務整理を考えよう

【関連記事】多重債務で借金が返せない|任意整理で借金を圧縮した女性の体験談

今総量規制をやめたところで、借金で悩む人が減るかどうかはわからないけどみんな「もう借りられない」という状態になったら債務整理を検討してほしいな。

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