個人再生とは?費用や流れ、デメリットのわかりやすいまとめ
記事の最終更新日:2023年02月28日
カテゴリ:個人民事再生(民事再生・個人再生)について
私のパパは借金を700万近く抱えて自己破産したから車を処分したんだけど
自己破産しないで済む方法はなかったのかしら?
花子ちゃんのパパの収入や借金の額にもよるけど、個人再生も選択肢のひとつだったかもね。
個人再生は手続きが複雑で大変なんだけど、住宅ローン(自宅)や車、生命保険などの財産を残して借金を大幅に減額できる手続きなんだ。
個人再生のデメリットや費用、必要書類や流れなどをわかりやすくまとめたよ!
も く じ
- 個人再生(個人民事再生)とは、どんな手続きなのか?
- こんな人は個人再生に向いてる(個人再生ができる条件)
- 個人再生の2つのデメリット
- 持ち家がある場合
- 個人再生の5つのメリット
- 個人再生で借金をどれくらい減額できる?
- 個人再生の前に過払い金がないか確認する
- 個人再生には2種類ある
- 個人再生にかかる費用はいくら?
- 個人再生をすると、どんな影響がある?
- 個人再生のよくある質問|Q&A
- 個人再生は自分でできる?誰に頼めばいい?
- 個人再生の必要書類とは?
- 個人再生の流れ
- 個人再生の体験談
- 個人再生をした後の暮らしはどうなる?(返済できなかったら?)
- 個人再生の失敗とは?
- 個人再生のハードシップ免責とは?
- 個人再生の注意点
- ①弁護士に見栄を張らないこと
- ②借り入れに頼ることができない
個人再生(個人民事再生)とは、どんな手続きなのか?

個人再生とは、裁判所に借金を大幅(1/5程度)に免除してもらい、原則3年間で完済をめざす手続きです。
個人再生で借金はここまで減らせる
借金額 | ここまで減らせる |
---|---|
100万以下 | 減らせない |
100万~500万以下 | 100万円 |
500万~1500万以下 | 債務額の1/5 |
1500万~3000万以下 | 300万円 |
3000万~5000万以下 | 債務額の1/10 |
重要なポイントは自己破産と違って財産の維持が可能というところ。
自己破産ではすべての借金を免除してもらえる一方で、家や車など保有財産の多くは強制的に売却されてしまいます。
【関連記事】自己破産すべき人とは?手続き前に知りたいことまとめ
【参考記事】個人再生と任意整理の違い
個人再生なら車や生命保険といった保有財産の維持が可能です。
さらに、住宅ローン特則(住宅資金貸付債権に関する特則)の利用で、住宅ローンのみを個人再生手続きから外し、現状通り支払い続けることが可能=そのまま保有できるということ。
守りたい財産がある方・住宅ローンを支払っている方にとって、個人再生は非常に有用な手続きです。
なお、カーローンは住宅ローン特則のような規定がないため、個人再生を利用すれば強制売却される可能性が強いです。
※車の保有が継続できるのは、すでに完済している(自己保有の)車のみ
【関連記事】車のローンが残っている方の債務整理
こんな人は個人再生に向いてる(個人再生ができる条件)
・今ある借金を完済するのは難しいけど、自己破産だけは避けたい(=財産を守りたい)人
・継続した収入があり、借金を減額すれば返済可能
・(住宅ローンを除く)借金が5000万円以下
個人再生の2つのデメリット
1.個人再生の開始決定から10年未満は信用情報に事故情報が記載されるため、新たな借り入れやクレジットカードの作成、ローンを組むことができない
2.自己破産と同じく官報に住所や氏名が掲載される

【関連記事】官報とは?自己破産や個人再生で官報に載ってもバレない理由
持ち家がある場合

持ち家(住宅ローンを完済した家)がある場合、不動産査定額が個人の保有財産(清算価値といいます)に含まれるため、返済する金額が増えてしまう可能性がある
※よく利用される小規模個人再生の場合:借金の1/5、最低弁済額100万円の他、清算価値の中から一番高い金額を弁済しなければならない
あまり清算価値が高額になってしまうと個人再生の利用価値がなくなるため、場合によっては持ち家を諦めて売却してしまったほうが有利に返済を終えられる可能性がある

個人再生について相談したい方へ
国が設立した「日本司法支援センター 法テラス」に問い合わせれば、無料で情報提供を受けることができます(法制度に関する情報、相談先を教えてくれる)。
また、資産や月収が一定以下の場合、下記のメリット(民事法律扶助制度)もあります。
・無料で弁護士の相談を受けられる
・費用の立て替えを受けられる
・費用を抑えられる
・分割払いで費用を支払える
「民事法律扶助制度」を受けられる資産や収入の基準

画像出典:https://www.houterasu.or.jp
個人再生の5つのメリット
1.自宅を失わずに(住宅ローンを除外)借金を大幅(1/5程度)に減額できる
2.(小規模個人再生の場合)借金が1/5程度に減額される(最低弁済額は100万円)
3.(給与所得者等再生の場合)可処分所得額の2年分に減額される
4.個人再生の手続きを始めてからは、督促や給料を差し押さえられない(強制執行を止められる)
5.自己破産と違い、借金の理由を問われない・職業や資格の制限がない
個人再生で借金をどれくらい減額できる?
小規模個人再生の減額率
借金額 | 個人再生後、返済する額 |
---|---|
100万円未満の場合 | 減額なし (その金額を払う) |
100万円以上300万円未満 | 100万円を払う |
300万円以上500万円未満 | 100万円を払う |
500万円以上1000万円未満 | 5分の1した金額を払う |
1000万円以上1500万円未満 | 5分の1した金額を払う |
1500万円以上3000万円未満 | 300万を払う |
3000万円以上5000万円未満 | 10分の1した金額を払う |

一般的には300~1000万くらいの借金を抱えた人が個人再生することが多いらしいよ。
個人再生の前に過払い金がないか確認する
過払い金とは、消費者金融やカード会社に払い過ぎた利息のこと。

アコムのような大手消費者金融でも、2007年6月までは現在の上限金利(15~20%)を超えた29.2%もの金利を取っていました。
(上限金利を超えた金利は違法)正しい金利に引き直し計算することで、過払い金がいくら発生しているかがわかります。
※2010年までに消費者金融やクレジットカードのキャッシングでお金を借りたことのある人は、高確率で過払い金が発生
もし、個人再生申し立て前に過払い金が発見されれば、わざわざ個人再生を利用しなくても済む可能性があります。

過払い金が発生しているということは、今ある借金は0円になるということ。
全ての貸金業者から過払い金が見つかれば、そもそも返済する必要がなくなるばかりか、多額の過払い金が手元に入ってきます。
個人再生では自己破産と違って、過払い金を回収される恐れはありません。
もちろん住宅ローンの返済に回すこともできるので、過払い金があると個人再生を有利に進めていけるようになります。

個人再生には2種類ある
個人再生は、生活状況や保有財産、債権者との関係等を鑑みて2つの手続きを使い分けます。
1つが「小規模個人再生」
もう1つが「給与所得者等再生」です。
この2つの手続きは、どちらも借金の一部が免除され、住宅を守ることができるという点は同じなのですが、手続きの中身が若干異なります。
小規模個人再生とは?

多くの方が小規模個人再生を利用します。
この理由は、最終的な弁済額(再生計画にて返済していく金額)が、小規模個人再生のほうが低くなる可能性が強いのです。
すでに上記にて触れていますが、減額率が非常に大きく、最低弁済額も100万円=3年間で1ヶ月あたり28,000円程度の返済ができれば十分に完遂可能です。
さらに、給与所得者等再生に比べると利用条件も緩くなっていて
・支払い不能の見込み
・継続した収入
があれば利用が可能となっています。


弁護士に「個人再生しましょう」って提案されたら支払い不能見込みがあるって考えて大丈夫だよ。
ただし、小規模個人再生は手続きの中で債権者から意見を求める機会が設けられています。
ここで借金総額の過半数以上の反対意見が出てしまうと、手続きは不認可とされてしまいます。
とはいえ、一般的な貸金業者が小規模個人再生に反対するようなことはほとんどないため、問題になるのは1回も返済していないなど不誠実な借り入れをしていた場合や、個人的な借り入れがある場合と言えます。
もし、反対意見が出るようなことがあれば、手続き自体ができなくなってしまうため注意が必要です。
給与所得者再生とは?

給与所得者等再生は、小規模個人再生よりも条件が厳しくなっています。
「支払い不能の見込み」+「継続した収入」の条件に加え、2年以上の安定した収入がなければ利用ができません。
さらに、給与所得者等再生による弁済額は、可処分所得要件にて決められるため高額になる恐れがあります。
可処分所得とは、簡単に言えば手取り給与のことで、手取り額の2年分を3年間で返済していく必要があります。
たとえば、手取りが20万円であれば、480万円を3年間で返済していかなければなりません(実際には家族構成や住む地域などによって最低生活水準等が異なるため、ここまで単純計算ではない)
。給与所得者等再生は、小規模個人再生に比べると要件が厳しくなっているのですが、債権者から意見を求める機会がありません。債権者は手続きに反対できないのです。

個人再生にかかる費用はいくら?
自分でやっても依頼しても必ずかかるお金
1.裁判所への申立時に支払う収入印紙代(1万円)
2.官報への掲載費用として予納金(1万4000円程度)
3.切手代(裁判所によって運用が異なるが、一般的には2000~4000円程度)など
さらに弁護士に依頼すると22~44万円前後を報酬として支払います。

もちろん個人再生による返済も、分割払いを考慮した上で計画が練られます。
なお、裁判所の運用によっては、個人再生委員が選任される場合があります。
個人再生委員とは?
個人再生委員は、個人再生手続きを監督するために弁護士が選任されます。
実務上では、東京地方裁判所ではすべての案件について個人再生委員が選ばれています。
東京以外の裁判所では、弁護士が代理人となって申立てを行なった場合は、個人再生委員はつかず、本人で申立てを行なった場合に個人再生委員がつくようになっています。
そして、個人再生委員は裁判所の補助機関として、貸金業者と個人再生の申立人の間に入りあくまで中立の立場で個人再生手続きを進めていきます。
個人再生委員が選任されると、その予納金(個人再生委員の報酬)として、15万~20万円ほどかかってしまうこともあります。
後ほど詳しく説明しますが、個人再生委員は弁護士が申し立てに関わっていない場合に選任される傾向があります。
個人再生をすると、どんな影響がある?

もっとも気になるのは家族への影響ですが、基本的には個人再生が理由で家族に影響を与えることはありません。
家族がカードを作ったり、ローンを組んだりすることももちろん可能です。
ただし
・家族が連帯保証人になっていた場合
・住宅ローンをペアローンにしていた場合
などは影響があります。
場合によっては、家族(夫婦)そろって個人再生を利用しなければなりません。
次に、職場への影響ですが、そもそも個人再生した事実を知られることがほとんどないため、影響はまずありません。

ただし、個人再生の申立が遅れ、債務名義を取得した貸金業者から給与差し押さえの強制執行をされてしまうと、職場に通知がいってしまうため、悪影響を与える危険があります。
強制執行の危険がある場合、申し立ては一刻も早く行いましょう。
個人再生のよくある質問|Q&A
生命保険や学資保険を解約しなきゃダメ?
解約する必要はありません。ただし、解約返戻金が高額の場合、個人再生の返済額が増えてしまう場合があります。弁護士に相談しましょう。
税金や国保を滞納してるんだけど、これも免除されるの?
税金や国保といった支払い(公租公課といいます)は免除になりません。優先して支払っていきましょう。
遊びでつくった借金なんだけど、個人再生できる?
個人再生では多重債務の経緯が問われることはありません。どういった理由でも要件さえ満たせば利用可能です。
個人再生したことが戸籍に残るって本当?
戸籍には残りません。もちろん住民票に記載される心配もありません。
個人再生したことが家族や会社など誰かにバレる?
官報に掲載される以上、絶対にバレないと言い切ることはできません。
また、手続きの中で生計を共にする同居人(妻や夫)の給与明細が必要になるため、隠れて行うのが難しい場合があります。
その他、住宅ローンが夫婦共有名義(ペアローン)になっているなどの場合も隠れて行うのは困難です。
再生債権者ってなに?
難しく言えば、再生債権を保有している者のことです。
再生債権とは、再生計画によらなければ返済したりされたりしてはならない債権のことを指します。
簡単にいえば、個人再生申し立て前に借り入れていた消費者金融などのことです。
クレジットカードは使えなくなる?
信用情報に事故情報が掲載されるため、個人再生の開始決定から10年未満はクレジットカードが使えなくなります。
奨学金は個人再生の対象?
奨学金も個人再生の対象になります。
個人からの借入は個人再生の対象?
個人からの借り入れも個人再生の対象になります。
再生計画が裁判所に認められないケースってあるの?
認められないケースもありますが、かなり稀で個人再生の要件をすべて満たしていれば認められます。
ただし、裁判所が認めても小規模個人再生の場合は債権者からの反対が出る可能性もあるので注意です。
個人再生の最低弁済額ってなに?
最低限返済しなければならない金額のことです。
個人再生すると保証人付きの借金はどうなる?
不足分は保証人に対して請求がいきます。
個人再生手続きにはどれくらい時間がかかる?
平均的には半年程度です。
個人再生が自己破産と違うポイントとして「自分の財産を処分しなくていい」っていうけど、退職金や保険や持ち家や車は清算しなくていいの?
清算する必要はありません。
ただし、保有財産はすべて清算価値として算定され、清算価値が個人再生における最低弁済額を上回る場合、清算価値が最低弁済額の基準となります。
休職中・無職なのですが、収入がなければ個人再生はできない?アルバイトや契約社員でもできる?
継続的な収入があることが利用条件なので、休職中・無職では個人再生はできません。
一方で、アルバイトや契約社員であれば、継続した収入が期待できるので利用可能です。
オーバーローン、アンダーローンってなに?
仮に自宅を売却してもローンが残る状態をオーバーローン。
残っているローンよりも自宅の売値のほうが高い状態をアンダーローンといいます。
個人再生しても嫌がらせは受けない?
貸金業に登録している業者であれば、個人再生を理由に嫌がらせをするようなことはありません。
しかし、個人債権者がいる(親戚や友人に借りている)場合、人間関係の再構築には苦労する可能性があります。
個人再生を申し込むお金がないのですが、どうすればいいですか?
費用は分割払いが可能な事務所が多いので、一括で支払う必要はありません。

個人再生後もアパートやマンションは借りられる?携帯電話は使える?
アパートやマンションは借りられるし、携帯電話も利用可能です。
ただし、契約時に保証会社が必要になる場合や、携帯電話・スマートフォン本体の割賦販売については個人信用情報の関係から審査に通らない可能性があります。
年金受給者でも個人再生できる?
年金も継続収入の1つです。個人再生を行っても生活が維持できるのであれば利用可能です。
個人再生すると滞納した家賃はどうなる?
家賃も再生債権に含まれるので、減額の対象になります。
アルバイトや正社員じゃなくても、個人再生できますか?
正社員でなくても継続的な収入の見込みがあれば個人再生が可能です(例:1年以上雇用が継続している、月3万円程度返済できる余裕がある)。
再生委員ってなにするの?
1.個人再生の申立人の財産や収入状況を調査
個人再生委員は、現在、申立人にはどんな財産があるのか、毎月の収入はどうなっているのかを調査することになります。
2.申立人と貸金業者で借金がいくらなのか争いがある場合、調査
実際の借金がいくらになるかという評価するときに、裁判所の判断を再生委員が補助することになります。
3.申立人が再生計画案を適正に作成するのに必要な勧告
申立人が、個人再生が終わったあとの再生計画案(返済計画案)を作成するのに必要な勧告をします。
申立人が個人の場合、個人再生は複雑な手続きで、個人再生委員の費用も含めるとトータルでの費用も大きくなります。
個人再生は自分でできる?誰に頼めばいい?

必要書類は多く、清算価値の算出(給与所得者等再生の場合は可処分所得の算出)、申立書、債権者一覧表、再生計画案の作成など、個人でやるにはあまりにハードルが高すぎます。
また、個人での申し立ての場合、裁判所によっては個人再生委員が選任され、手続きの進行等を行うことになり、その費用(20~30万円前後)を自ら負担しなければなりません。
費用を節約しようと個人で申し立てを頑張っても、個人再生委員の費用がかかれば、弁護士に依頼するのと同等の金額がかかってしまうのです。
さらに、この費用は一括で納めなければならず、分割で支払える費用と違い単なる負担でしかありません。
こうした点を踏まえれば、個人再生は弁護士に依頼するのが賢明です。
ただし、司法書士では書類作成のサポートはできても、手続き代理ができないため個人再生委員が選任される可能性があります。
裁判所によって個人再生の運用は若干異なるので、必ず個人再生委員が選任されるわけではありません。その地域で活躍する弁護士に、申し立てる裁判所での個人再生の運用についてたずねてみるのも良いでしょう。
個人再生の必要書類とは?
相談前にあると便利な必要書類
債権者(お金を借りた相手)がわかるメモ |
現在の返済状況がわかるメモ |
印鑑(書類ではありませんが契約時に必要になります) |
依頼する段階では特に必要書類はなく、メモ程度のもので十分です。
申立時の必要書類
申立書 |
債権者一覧表 |
住民票の写し(マイナンバーの記載は不要) |
清算価値チェックシート(給与所得者等再生の場合は可処分所得額算出シート) |
申立人の給与証明書3ヶ月分(以下、提出期間は裁判所ごとに運用の違いあり) |
申立人の源泉徴収票2年分 |
申立人の課税証明書2年分 |
申立人の確定申告書2年分 |
公的受給の証明書(児童手当など) |
賃貸借契約書、住宅使用許可書など現在住居に関する資料 |
同居人の収入に関する資料 |
預金通帳2年分(一括記帳があれば残高証明書) |
退職金見込み額証明書(退職金があれば) |
保険証券(生命保険・損害保険などすべての証券) |
解約返戻金に関する証明書(上記保険にて解約返戻金がある場合) |
有価証券とその時価がわかる資料 |
車検証、登録事項証明書、車両の時価がわかる資料など自動車に関する資料 |
不動産登記簿謄本、共同担保目録、固定資産評価証明書、不動産査定書など自宅に関する資料 |
その他、裁判所が必要と判断した書類 |


というか、本人しか取得できない書類が必要書類の9割を占める。個人再生は難しい手続きなんだよ。
しかし、申立に際しては膨大な数の書類が必要になります。漏れがないように1つ1つ用意していきましょう。
なお、書類によっては申立直前(3ヶ月以内の住民票など)のものが必要になる点にも注意です。
急いで集めれば良いというものではありません。
個人再生の流れ
①弁護士に相談して個人再生が自分に合っているか確認する
②弁護士が債権者(お金を貸りた業者)に受任通知を送り債務の調査を行う
③弁護士の指示に従い必要書類を用意する
④上記必要書類と共に裁判所に個人再生の申し立てを行う
⑤申立と合わせて過去数か月の家計簿や給料明細、減額率などを考慮して再生計画案(新たな返済計画)を立てる
⑥裁判所が必要と判断した追加書類を提出する
⑦再生手続きの開始決定が出る
⑧再生債権者による債権届出期間、異議申述期間等を経る(この間に再生計画案に基づいた積み立て履行テスト)
⑨確定債権額、履行テストの結果等をもとに最終的な再生計画を立てる
⑩裁判所から再生計画の認可決定を受ける(個人再生手続き終了)
⑪再生計画に沿って毎月の返済を開始する
※ここまでで申し立てから半年程度が平均的
個人再生の体験談

まずは300万円あった借金を100万円まで圧縮しマイホームを死守したNさんのインタビューをご紹介します。
45歳 会社員 Nさん(仮名)6社300万円の借金をマイホームだけ残して個人再生

個人再生をする前はとにかく借金返済のことで頭が一杯でした。
働いても働いても借金が減らない事やいつになったら返済が終わるのだろうかという不安を抱えて生活していました。
両親と暮らしていましたが心配をかけたくなくて借金の事を打つ明けられず1人で悩んでいました。
個人再生の前は生活費も無くなり給料のほとんどを借金返済にまわさないといけなくなり働いていても元気が出なくなりました。精神的にかなり追い込まれていました。

借金は300万円弱ありました。
近畿信用保証(株)
イオンクレジットサービス(株)
(株)泉州カード
(株)オリエントコーポレーション
(株)TSBキャピタル
(一社)日本労働者信用基金協会
の6社から借金していました。

借金をしてしまったきっかけを教えてください。また、個人再生を決意したのはどんなタイミングだったのでしょうか?
はじめはクレジットカードで買い物をしたのがきっかけでした。
当時仕事も順調で残業も多くそれなりに給料を貰っていました。
なので自分では余裕で返済出来る気持ちでした。
カードで買い物に慣れていきだんだん買い物がエスカレートしていきました。
自分の給料で十分返済出来る予定だった私に想定外の出来事が起こりました。
失業です。辞めたくはなかったのですが事情があり仕方がありませんでした。
転職にも時間がかかり個人再生に踏み切りました。

個人再生は誰に依頼されたんですか?
個人再生は個人でできるものか、任せた方が良いのか私にはわかりませんでした。
色々調べた結果、個人でするのは無理だと判断し弁護士に任せる事にしました。ただ費用がかかります。
どうしたものかと悩んでいた時法テラス(日本司法支援センター)を知りました。
任せる事にした理由は費用立て替えの援助があるからでした。
実際申し込みに行って弁護士さんに会いましたがとても親身に話を聞いて下さったのでお願いする事にしました。

個人再生で借金は300万円弱あったものが100万円に減額されることになりました。
私にはマイホームがありローンの返済中でしたので家は残しました。
家だけは絶対に手放したくはなかったのです。
私は6社からの借金がありましたので6社それぞれと弁護士さんがお話をして下さいました。
会社名 | 残債 |
---|---|
近畿信用保証(株) | 16万円 |
イオンクレジットサービス(株) | 7万円 |
(株)泉州カード | 17万円 |
(株)オリエントコーポレーション | 9万円 |
(株)TSBキャピタル | 39万円 |
(一社)日本労働者信用基金協会 | 12万円 |
これを3年弱で返済しました。

着手金189,000円
代理援助実費35,000円
合計224,000円です。
これを12回に分けて返済しました。
弁護士さんがそれぞれの債権者と決めてくれた金額が一覧表になっており3か月に1回銀行で振り込みました。

個人再生が決定してすぐに取り立てや催促の電話が無くなりました。
自分の給料の範囲で返済出来る事になり精神的に楽になりました。
ただ私の場合家を手放したくない理由で個人再生に踏み切りましたので、家族に正直に話すしかなかった事と両親に心配かけてしまったのが辛かったです。
でも個人再生したおかげで今もマイホームで暮らせているのでとても感謝しています。
それから個人再生した事でクレジットカードが何年間か作れないのは本当でした。


55歳 主婦 ひばりさん(仮名)ギャンブル中毒の夫のせいで個人再生しました
借金はいくらあったか?どこで借りていたか?
合計金額は約600万円。
武富士、アイフル、アコムなど有名な貸金融業者6~7社で借りていました。
他にも、銀行での借り入れが100万円前後あったと思います。
個人再生で借金をどれだけ減額できたか?
約600万円⇒約360万円。マイホームも残せた。

当時は、家族生活も破綻しかけていて給料日や借金の返済日が近づくと毎月、主人と激しい言い争いをしていました。
3人の子供がいるのに、この先いったいどうしたらいいのかと頭を抱えていました。
踏み出したきっかけは、自営業である主人の姉から「月に一回(程度)商工会で悩み事相談をしているので、行くように」と言われたことです。
主人は自分の作った借金なのに全く動こうとはしなかったので仕方なく私が相談に行きました。
その時に弁護士に相談に行くよう勧められ、弁護士事務所に今度は主人も連れて相談に行きました。
弁護士からは「600万円程度なら破産しなくても個人再生という方法がある」と聞きました。
破産は全てを失うことになるが、個人再生であれば不動産なども失うことなく依頼できると知り自己再生を選びました。

個人再生の前はどんなことが不安でしたか?
家の場合は主人のギャンブル中毒による借金が原因で個人再生しました。
個人再生する前までは「これから先、いったいどうしたらいいんだろう?」と毎日のように考えていました。
当時は今のように『過払い金は弁護士に相談』などというCMも無かったので、悩んでも考えてもいい方法も思い当たらず、ただ「どうしたら?」という不安と共に「家はどうなるのか?仕事に影響はあるのか?」という自分達では答えの出ない不安でいっぱいでした。
個人再生は、総合(共同)法律事務所の弁護士に依頼しました。
商工会からの紹介ということもあり安心できる、ということは勿論ですが、当時は弁護士事務所などとは無縁で「どこがいい・誰がいい」など全く分かりませんでしたが、弁護士からの具体的な説明で、これだったら返せるかもしれない、という気持ちや、また弁護士が主人に対して「二度とギャンブルはしません」というような文言の念書を書かせて、借金の怖さなども話してくれたことも私にとってはとても頼りになると思わせるものでした。
そしてこれで借金が失くなるのなら早くなんとかしたい、と強く思い決めました。

個人再生で借金はどのくらい減らせたんですか?
6~7社からの借り入れで約600万円あった借金は、約360万円に減りました。
勿論マイホームは残しました。
個人再生後の借金の返済期間は6年くらいだったと思いますが、当時会社からのリストラを受け入れた主人の退職金が入ったので、一部それを返済に当てた為、当初の返済期間よりも少し早く、5年くらいで返済を終えることができました。

当時、個人再生のために費用はどれくらいかかりましたか?
費用は、最初の弁護士相談の時の説明で、最初に20万円を預けてその枠内でおさめてくれるということでした。
そして、もし費用が20万円以下であった場合、残金は返金してくれるということで、実際に20万円以下であったため、残りの(たぶん4~5万円)は銀行口座に後に返金されました。

個人再生をしたおかげで当初の借金は無くなりましたが、主人のギャンブル中毒は治らず、返済が終わりブラックリストから外れるとすぐにまたお金の借入ができるようになり、結局また100万円を武富士で借りてパチンコに行っていました。
お金を借りる主人が悪いのは言うまでもありませんが、そのように容易くお金を貸す業者がいる限り借金がゼロになることはありません。
もっと審査を厳しくし主人のような人間には貸さないで欲しいと思います。
会社や家族への影響は全くなくその後、娘の車の購入時は私の名前でローンもちゃんと組めました。

ひばりさんと似たような境遇を抱える方(個人再生を検討している人・旦那の借金に悩んでいる人)にコメントをお願いします。
本当に必要があってお金を借りてしまい悩んでいる方は、今すぐ自己再生をして借金という呪縛から解放されて下さい。
しかし、ギャンブル中毒の人には「借金してまでギャンブルなんかするな!借金を無くす事よりも、ますギャンブルをやめることを考えろ!」と言いたいです。


2度目の債務整理で自己破産なんてことにならないといいけど……ここからは他の体験談記事へのリンクを紹介します。
9社に500万円の借金があり月の返済額が17万円にまで膨れ上がったM永さんが個人再生をするまでの体験談記事です。
M永さんは、過払い金請求を行ってから小規模個人再生を行いました。
個人再生をした後の暮らしはどうなる?(返済できなかったら?)
裁判所での手続きが終了すれば、今度は再生計画に則って実際に返済がスタートします。
返済期間の延長(再生計画案の変更)

しかし、3年間という期間は短いようで長いので、なにかをきっかけに暮らしに変化があれば、返済できなくなってしまう可能性は十分にあります。
こういった場合は、裁判所に再生計画案の変更を申し立てましょう。
特別な事情が認められれば、返済期間を3年から5年に延長することが可能です。
ここでいう特別な事情とは
・子どもの養育費が増えた
・家族が入院し医療費負担が増えた
・会社をクビになってしまった
など、収支状況に関わる重大な出来事があった場合などのことです。
もし、延長を希望する場合は、直接裁判所に申し出る前に、もともと個人再生を依頼していた弁護士に相談するのが良いでしょう。
しかし、期間延長したにも関わらず支払いができない場合は、ハードシップ免責を利用するか、他の債務整理手続きにて解決を図るしかありません。
もともと小規模個人再生を利用していた場合、再度の個人再生の申立も可能ですし(給与所得者等再生の場合、開始決定から7年間は再申立ができない)、個人再生は解決が図れないようであれば自己破産にて解決を図ります。

個人再生の失敗とは?
1.個人再生の申し立てが裁判所に棄却される
個人再生の要件を満たしていない場合、申し立ての段階で棄却(理由がないので無効にすること)されてしまいます。
2.個人再生の手続き中に廃止になる
裁判所からの指示を守らない場合、手続き中であっても廃止(手続きを辞めさせること)される恐れがあります。
3.不認可(認められない)
手続きを最後まで行った結果、再生計画の履行が不可能と裁判所に判断されると不認可となります。
4.認定許可後に取り消しになる
認可決定後であっても、手続き中に不正があれば認可の取り消し(効果が生じなくなること)をされてしまいます。

個人再生に失敗しないために、どうすればいいか?
個人再生を失敗しないためには
・裁判所への申し立て前段階で個人再生の利用要件を満たしているか
・再生計画を履行できる見込みがあるのか、などを確認してから申し立てること
・裁判所からの指示にはしっかり従うこと
具体的に言えば、再生計画に則った履行テスト(実際に積み立てを行うこと)や、指定された書類の提出などをしっかり行うことです。
個人再生は特に提出書類が多岐に及ぶため、これらすべてを取得し・提出し、どうしても提出できない理由があれば、その理由を「上申書」といった形式にてまとめ、裁判所に理解を求めることが重要です。

個人再生のハードシップ免責とは?
ハードシップ免責とは、やむを得ない理由で再生計画通りに支払えなくなった場合、以下の条件をすべてクリアすると免責(払う義務がなくなる)を受けることができます。
しかし、少し条件が厳しくなっているため、ハードシップ免責を前提に手続きを利用するようなことがあってはなりません。
・再生計画による返済の4分の3の支払いが終わっている
・返済困難になった理由が本人のせいでないこと(本人の浪費などはアウト)
・再生計画を延長しても支払いが困難と認められること

個人再生ができない場合、自己破産で借金問題を解決することも可能です。
支払い不能状態になたら、
個人再生の注意点
①弁護士に見栄を張らないこと

住宅ローン特則の利用があれば、その間、ずっと住宅ローンも支払い続けなければならないのです。
個人再生は、3年間での履行が難しいと申立時にわかっている場合、最初から5年間での利用も可能ですし、5年での返済が難しければそこからさらに2年の延長も可能となっています。
弁護士には正しい情報を伝え、決して見栄を張らないようにしましょう。
②借り入れに頼ることができない
個人再生を利用すれば、その事実は信用情報機関に登録され、個人再生の開始決定から10年未満は新たな借り入れが困難になります。
「住宅ローンを支払うため、借金を返済するため、生活を維持するため」など、様々な理由でキャッシングに頼る生活を送っていた方が一切の借り入れをできなくなってしまうのです。
借入ができないにも関わらず、住宅ローンの返済も再生計画による返済もしなければなりません。
よって、早い段階で現金管理を身に付ける必要があります。
1ヶ月の収入を1ヶ月で使い切るのではなくなるべく余るように計画し、預金するクセをつけておくようにしましょう。
個人再生を成し遂げるコツ

なかなか思うように手続きが進まないと「自宅や財産を守りたい」といった強い意思がだんだんと薄れていき「自己破産でもいいんじゃないか?」といった弱い気持ちになってしまう方もいます。
こうした状況を避け手続きを成し遂げるには、信頼できる弁護士に依頼することに尽きます。

個人再生は裁判所への提出書類も多く、裁判所からの細かい指示や実際に積み立てを行う履行テストなど、決定を得るまでに多くのハードルを越えなければなりません。
それだけ弁護士とのやり取りを密に行う必要があるということ。信頼できない弁護士に依頼していては、とても裁判所からの決定を得ることなどできません。
また個人再生の手続きが終わっても、個人再生は返済を継続しなければならない手続きです。
返済に支障がでる出来事があったとき、いつでも相談できる弁護士がいることほど心強いことはありません。
こうした点から個人再生を成し遂げるコツは、自分に合った信頼できる弁護士を探すことです。
すでに差し押さえされている方・されそうな方(強制執行)
個人再生申立(裁判所で手続きする)前に
・給料を差し押さえられている
・裁判所経由で「訴状」や「支払い督促」といった書面が届いている
という方は、個人再生の申立によって貸金業者の行う差し押さえを全て停止できます。
そもそも、給料が差し押さえられている状態とは、貸金業者側が強制執行手続きを利用しているということ。
強制執行手続きは、他人の財産を差し押さえる手続きです。
他人の財産を差し押さえるというのは決して簡単なことではなく、前提として請求が適正であることを裁判所に認めてもらう必要があります。
これが「判決」などといった裁判所が出す決定のことです(これらを総じて債務名義といいます)。
強制執行手続きは、この債務名義がなければ執り行えないため、支払いが滞ったからといって即座に差し押さえられる心配はありません。
しかし、債務名義を取得され、強制執行手続きに移行されてしまうと、職場に裁判所からの通知がいったり、気づけば銀行残高が0円になってしまったりと不利益ばかりです。
さらに、給料が差し押さえられたとなれば、住宅ローンの返済にも支障を来たし、個人再生の利用どころではなくなる危険すらあります。

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タグ: | 個人再生(個人民事再生) 債務整理 知識・用語解説 |
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記事の最終更新日: 2023年02月28日
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