特定調停スキームとは?金融円滑化法終了後、中小企業の救済・清算策

特定調停って、個人が裁判所を通して貸金業者と話し合って、借金を減額してもらう手続きじゃなかったっけ?

特定調停は、個人だけじゃなくて企業も利用できるんだ。

特定調停スキームは、廃業しそうな中小企業を経営再建させるためにつくられた仕組みだよ。

【関連記事】特定調停とは?デメリットや流れ、費用を日本一わかりやすく解説
→個人が裁判所を通して借金を減額する特定調停についてはこちら

 

会社が潰れそうになったら再生か清算|5種類の手続き

手続き破産特別清算民事再生会社再生特定調停
目的清算清算再生再生清算/再生
手続きする人破産管財人特別清算人本人更生管財人本人や弁護士
内容裁判所に選出された破産管財人が財産や負債の調査→換価し、債権者を集めて配当する会社に債務超過がある場合、裁判所の監督のもと、会社を解散させて財産や法律を整理する多数の債権者から同意を得て、財産を換価処分して借金を整理する(一定の財産は残せる)裁判所に認められた再生計画をもとに事業を継続する大企業(かつ株式会社)が会社更生法の定めに従って再生計画をつくり、会社の収益を向上させたり負債を圧縮する弁護士と協力して再生計画をつくり、裁判所を通じて債権者と交渉し借金を減らしたり返済方法を変更する
備考法人の破産手続きは通常、管財手続きとして扱われるが、中小企業の場合は、少額管財手続きとなり3か月程度の短期間で終了することが多い株式会社しか利用できない。裁判所に従わなければならない裁判所や監督委員が見守る中、事業を継続しながら手続きができる経営陣は後退しなければならず、株主も地位を失う中小企業円滑化法(モラトリアム法)終了後、中小企業の事業再生のためにつくられた

会社が(借金が資産を上回る)債務超過を起こしたり、資金繰りがうまくいかなかったり廃業の危機に瀕したら事業を再生して立て直しを図るか清算して廃業するか選ぶことになります。5種類の手続きで再生か清算を進めていきます。

破産

事業を清算するための手続き。廃業する会社の8割が行う手続き。

特別清算

事業を清算するための手続き。株式会社のみが利用できる。清算手続きを行う会社に債務超過等が起きている場合、基本的に債権者の同意を得ながら、裁判所が選んだ特別清算人(会社の代表など)が手続きを行う

民事再生

事業を再生させるための手続き。裁判所に民事再生を申し立て、再生計画をつくって多数の債権者から同意を得ると、一定数の財産を残したまま借金を減額できる

会社更生

事業を再生させるための手続き。株式会社のみ利用できる。大企業が多く利用する。手続きが厳しく旧経営陣は退任しなければならない。手続きは裁判所が選んだ更生管財人が行う

特定調停スキーム

事業の再生にも清算にも利用できる手続き。裁判所を通して債権者と話し合い借金を減額したり免除してもらう。債権者と話し合う前に弁護士と再生計画を作成するので、一人で手続きするより債権者に受け入れてもらいやすい

モラトリアム法終了後にできた、特定調停スキーム

特定調停スキームとは?金融円滑化法終了後、中小企業の救済・清算策

特定調停スキームとは、中小企業が廃業の危機を迎えた際、弁護士と協力して再生計画をつくり、裁判所を通して金融機関と交渉して、返済条件を変更したり借金を減額・免除してもらいながら、事業を再建するしくみのことです。

※2017年1月、企業の清算や廃業にこの制度を活用するべく日本弁護士連合会が『特定調停スキーム利用の手引き』をまとめました 詳細はこちら

ざっくりとした特定調停スキームの流れ

中小企業が廃業のピンチ

中小企業診断士や税理士などの専門家と協力して、経営改善計画や弁済計画案を練る

計画を金融機関にプレゼンしつつ、借金を減額したり返済条件を変更してもらう

経営再建(債務が残っていれば支払い開始)

債務者(お金を借りた中小企業)が弁護士(や税理士、公認会計士や中小企業診断士などの専門家)と協力して、再生計画や弁済計画を練り、債権者(お金を貸した金融機関)と調整し、合意のうえで特定調停を行います。

特定調停により一部の債務を免除してもらうことで、企業が再スタートを踏み出しやすくなります。

銀行などにローン返済の猶予を促す法律として中小企業の強い味方だった、中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)が2013年3月に終了した。

中小企業へのサポートを強化するために、特定調停スキームが生まれたんだ。

【関連記事】モラトリアム法とは?中小企業金融円滑化法の期限切れでどうなった

特定調停スキームのメリット

・専門家と再生案を考えるので、債権者の同意を得やすい

・短い期間で手続きできる(基本的には半年~1年程度で終了)

・(経営再建する場合)取引先に知られずに手続きができる

・特定調停を行う債権者を選べるので、取引先への支払いなどに影響がない

・経営改善支援センターから弁護士費用の補助を受けられる可能性がある

・複数の金融機関から借金をしていても、特定調停の申し立ては1件でよい

特定調停スキームのデメリットや注意点

金融機関が合意しなければ、特定調停が成立しない

特定調停を申し立てる前に、専門家と協力して事業再生計画を立てなければならない

金融機関が特定調停を承諾してくれるかは、経営改善計画書や弁済計画のデキしだいなのか~。
そう。だから債務整理に精通した弁護士というよりは、事業再生に強い弁護士や公認会計士とチームを組んだほうがいいね。

特定調停スキームの流れ

1.廃業のピンチ

2.事業再生に強い弁護士に特定調停スキームを依頼する

3.弁護士や公認会計士、中小企業診断士や税理士などと協力し、再生計画を立てる

4.簡易裁判所に特定調停を申し立てる

5.第一回調停(調停委員との面談)

6.第二回調停(金融機関との交渉)

7.調停成立(債務が残っていれば支払開始)

※調停は1回で終わる可能性もある

特定調停スキームを利用するには

日本弁護士連合会が公開している資料(金融円滑化法終了への対応策としての特定調停スキーム利用の手引き)によると

特定調停スキームの対象となる案件は

・負債総額 1億円以下、年間売上 3億円以下の企業
・負債総額 1~10億円、年間売上 3~20億円以下の企業

だそうです。

上記にあてはまる経営者の方は、事業再生に強い弁護士を探して相談してみてください。

特定調停スキームの弁護士費用支援を受けられるかも

中小企業は、特定調停スキームを弁護士に依頼することが可能です。

その場合、全国の都道府県に設置されている中小企業再生支援協議会の『経営改善支援センター』を利用すると、経営計画を練り直す費用として、総額の3分の2(上限:200万円)を負担してもらうことが可能です。

【参考リンク】中小企業庁 認定支援機関による経営改善計画策定支援事業の利用申請

【問い合わせ先】全国の経営改善支援センターの一覧

特定調停スキームを利用した廃業や清算

事業不振や後継者不足で危機をむかえた経営者は、破産特別清算という手続きで廃業していました。

しかし、特別清算は手続きを始めるまでに2か月程度かかってしまい、中小企業の廃業手続きとしては時間がかかり過ぎていました。

特別清算と特定調停の違い

 特定調停特別清算
内容裁判所を通して金融機関と話し合い、借金を減額してもらう債務超過になった株式会社が裁判所の監督のもと、財産を清算する
期間すぐに始められる

半年~1年程度
手続きを始めるまでに2か月程度かかる

最低3か月、長くて3年かかる場合も
費用※上限200万円まで、経営改善支援センターが負担してくれる場合も

・(裁判所に支払う)予納金
・(弁護士に依頼する)弁護士費用

破産手続きよりはかからない
・(裁判所に支払う)予納金
・清算人の報酬
・(弁護士に依頼する)弁護士費用

破産手続きよりはかからない
メリット・破産や特別清算よりも早く清算できる


・金融機関よりも取引先を優先して返済できる可能性がある

・取引先に知られずに借金を整理できる

・専門家と協力して事業再生案をつくるので、債権者の同意を得やすい
・破産に比べるとイメージが悪くない

・会社の財産を清算する清算人を会社が選べる

・金融機関よりも取引先を優先して返済できる可能性がある
デメリット・債権者が合意しなければ、特定調停が成立しない

・特定調停の申し立ての前に、債権者と話し合う必要がある
・少なくとも債権者の2/3の同意がなければ利用できない

・株式会社しか利用できない

そこで2017年1月、日本弁護士連合会が事業再生に使われていた特定調停を廃業手続きにも活用すべく『特定調停スキーム利用の手続き』をつくりました。

特定調停スキームは、再建を目的とした手続きですが、清算を目的とした手続きも増えているそうです。

もともと事業再生に用いられている特定調停制度を廃業手続きとしても活用すべきだと判断。最高裁や中小企業庁などとの調整を経て今年1月、廃業支援に的を絞った「特定調停スキーム利用の手引き」をまとめた。

新スキームで廃業を求める経営者は、弁護士の支援を受け、債権者の金融機関と事前調整した上で、全国50カ所にある地裁本庁に併置された簡裁に申し立てる。裁判官や企業経営に詳しい専門家など2人が調停委員となり、原則2回程度の調停で、清算を終えることを目指す。

日本経済新聞 2017.3.13『中小廃業に特定調停 早期清算、日弁連が後押し 取引先への影響抑える』より

会社生存率って言葉があってね。中小企業は設立から5年で15%、10年以内に90%が倒産してしまうそうなんだ。
ええっ! そんなに!?。10年以上続いてる会社ってすごいんだな~。
博士も昔は会社を持っていたんだけど、いろいろいろいろあって倒産させてしまった。今でも思い出すと胃がキリキリするよ。みんなもっと自分の会社の社長をホメてあげよう。
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