債務整理を一部だけしたい場合は、任意整理がおすすめ
記事の最終更新日:2020年07月03日
カテゴリ:はじめての債務整理
任意整理なら、一部の債権者にだけ返済することも可能

複数の貸金業者・金融機関からの借入がある場合、その一部を債務整理することは果たして可能なのでしょうか。

まずは原則からご説明いたします。
も く じ
一部の債権者のみに債務整理をするということは、原則としてできません。
これには理由があり、債務者(お金を借りている人)は債権者(お金を貸してくれた人)に対して平等でなければならないからです。
債務整理の中でも法的手続きに該当する(裁判所を通す)自己破産や個人再生の場合、一部の債権者のみに返済を続ける形をとった場合。
自己破産の場合:免責不許可事由に当てはまる
自己破産では偏頗弁済になりますので免責不許可事由に該当してしまいます。

でも、財産を隠したり・特定の債権者のみ担保を設定したり返済したりすると免責不許可事由に当てはまってしまい、免責許可が下りなくなってしまいます。
個人再生の場合:裁判所から許可が下りなくなる
個人再生においても、債権者の隠ぺいが見つかったときには債権者からの手続きに対する同意を得られなくなってしまいます。
同意がなくとも手続きを進める方法はありますが、そもそも裁判所からの認可が出なくなってしまいます。
任意整理なら一部の債権者のみ返済可能
では、法的手続きに該当しない任意整理の場合はどうでしょうか。
任意整理というものは、法的手続きを介さない和解交渉のことをいいます。
あくまでも任意的な債務者と債権者との交渉なので、一部債権者のみを対象とすることは可能です。
例:3社から借り入れがあって任意整理をする場合
・消費者金融 A社から200万円
・消費者金融 P社から180万円
・カーローン T社から50万円
上記のうちP社とT社の借金を任意整理して、カーローンは残したい。
=任意整理可能
しかしながら、ここで注意をしなければならないのが専門家に依頼をする場合です。
司法書士や弁護士に任意整理を依頼する場合
債務整理の中でも自己破産や個人再生のような法的手続きを要する場合には「一部のみ債務整理」は対応してもらえませんが、任意整理であれば対応してもらえます。
ただし、一部債権者のみ任意整理をしたことによって、他の債権者への返済が滞るようなことがあっては元も子もありませんので、そうならない範囲で任意整理を受任してもらうことができるのです。
とはいえ、専門家に依頼をする際には、一部のみを債務整理したい場合であっても、全ての債権者をしっかりと報告をするようにしましょう。
後から債権者が判明した場合には、専門家との信頼関係に傷がついてしまうかもしれません。
さらに、日本弁護士連合会では「債務整理事件処理の規律を定める規定」という、債務整理処理におけるルールを規定しているのですが、そこでは任意整理であっても一部債権者のみ受任をすることはできないとされているにも関わらず、事情を汲んで受任をしてくれる弁護士もいますので、嘘の報告等はせずに正直に伝えることが大事です。
【関連記事】債務整理を相談する弁護士、司法書士事務所の探し方
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偏頗弁済(へんぱべんさい)とは?

偏頗弁済(へんぱべんさい)とは、民事再生や自己破産をする時に特定の債権者にだけ借金の返済をすることをいいます。
※任意整理は例外
自己破産をした場合は、財産を債権者に借りていた分に比例するように配分しなければならないので、偏頗弁済は認められません。
借金の一部だけ整理したいという場合は、任意整理という裁判所を介さない方法での債務整理がおすすめです。
任意整理した後すぐに自己破産することになると免責許可がおりなくなる?
特定の債権者のみ任意整理の手続きを行う間「やっぱり減額しても払えない」とわかり自己破産に手続きを変えた場合、偏頗弁済だと言われてしまう可能性があります。
上記の例になぞらえると、A社とP社を任意整理する=返済をストップさせているのに、カーローンのT社には返済を行っていたということになります。
偏頗弁済扱いになると、自己破産で免責許可がおりなくなる可能性があります。
借金が払えない時・債務整理で借金を減額したい時は、どの手続きが自分に合っているか?司法書士や弁護士などのプロに見極めてもらいましょう。

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